チャンドラーのフィリップマーロウものは全部読んでいて、特にこのロンググッパイは、もっとも大好きな作品の一つ。学生の頃から3、4回既に読んでいると思う。
前訳ではテリーの魅力が今ひとつわからず、肝心のマーロウがなぜそこまで入れ込むのかピンと来なかったが、今回は伝わってきた。一方で前訳の暗い感じが薄れたような感じ。現代訳のせいで細部や人物像がクリアになったせいか、もしくは訳者の文体のせいかは分からないが、文間に漂う得もしれない人の哀しみや謎のような部分の方は薄らいでしまった。それでも改めて作品を楽しむことができた。原作を読む力はないので、可能であれば今度は、前訳と読み比べてみたい。